「君の名は」は恋愛映画として見てもあっさりしすぎ

昨日、暇ではないが時間があったので見てきた。ざっくりレビュー。

細かいパラドックスっぽいところは本質ではないと思うので言及しない。

絵はきれいだよ。120点。しかし、「アニメーション」としての魅力については、ジブリは無論、そこらの深夜アニメと比べても、魅力的な「動き」が少なかったように思われる。(彗星はきれいだったと思うよ。)

 

また正直、恋愛映画としてもあっさり風味すぎて没入しづらかった。

cider_kondo氏の「感情移入は七難隠す」という言葉が最近、大変気に入っているのだが、同様のことが本作にもいえる。映画は感情移入しやすいかがポイントだ。

REゼロ超つまらなかった

「感情移入は七難隠す」とかいう真理。粗が無限に気になるのは感情移入できないからで逆ではない。そしてid:hugieさんの指摘通り、「主人公が不快」は感情移入を疎外する最大要因で、その時点で回避するのがほぼ最善手

2016/09/20 17:52

b.hatena.ne.jp

多くの観客は、他人と入れ替わったことなどないだろうが、恋愛はしたことはあるだろう(成就したかはともかく)。だから、その点でもっと説得力のある描写をすべきだった。

前半ラブコメ、後半悲恋っぽい感じにしたかったのだろうが、肝心の好きになる過程がいかにもしょぼい。なるべく素直な気持ちでみたのだが、どうにも説得力が弱い。もっと王道的なイベントを入れてもよかったのでは?とも思う。要は「ほれてまうやろ~」的な胸キュン成分が足りない。互いに会えないのだから相手のいないところで相手のためになることをしてあげるってのがもっとあってよかった。

例えば、

  • 瀧のほうは三葉の父親との確執を改善させる。(これはストーリー上も絶対、必要だった。)
  • 三葉のほうは・・・あまり思いつかないが、瀧のために組紐を編んであげるというのがあってもよかったんでは?少なくとも電車で無理やり渡すみたいな流れよりかは全然いい。また、それを手掛かりに探す方が面白かった。

という感じだ。

正直、バイト先の先輩は当て馬にしかなってないし、なんか二人で先輩取り合ってるみたいな流れになってたし、先輩自体、ばっさりカットでもよかったんじゃないか?(髪の方じゃなくてさ)

没入感の薄さとテンポの遅さがあいまっただらだら感のおかげで何度も時計を見てしまった(´・ω・`)。ストーリーの質としては本作より尺が短い言の葉の庭の方が高いと感じた。新海誠は2時間の尺できちんと作品を構成できるようにもうちょっとレビューできる体制かなんかと整えたほうが良いのではと上から目線で思いました。

 

ただね、インタビューで言ってた公共的役割なんてくそくらえだとだと思うよ?俺は。

新海誠監督が「君の名は。」の舞台裏を語った……「映画通に不評でも、大きな層を狙いたかった」 (1/4) - ITmedia ニュース

"もっというと日本社会の中で、自分の公共的役割を見付けていかないといけない年齢になった気がするんです。" (´・ω・`)

2016/09/29 09:14

b.hatena.ne.jp

この君の名はの微妙*1なヒットが創作者としての新海誠の牙を抜いてしまうんじゃないかというのが今後の一番の不安である。

 

(恋愛成分が足りなかったのでなんかおすすめの作品があったら教えてください。)

 

言の葉の庭

言の葉の庭

 

 

*1:数字上の意味ではない