コインハイブへの無理筋な擁護が謎

 

コインハイブ事件 高木浩光氏が公判で証言「刑法犯で処罰されるものではない」 - 弁護士ドットコム

ユーザーに明示しない時点でNGだろ。同じリソース喰うでも意図が違うし、横車押すような反論。広告とコインハイブの間にはいくらでも線が引ける。

2019/01/16 03:41

 

高木は別に嫌いじゃないが、無理筋擁護だと思われる。リソースを使う点では広告と同じと言っているが質的差異がある。広告と同一線上にならべてちょっと悪いぐらいだみたいに見せたいのだろうが無理がある。線引きはちょっと考えただけでもいろいろ出てくる。

  1. 広告はユーザーに表示された時点でその表示のためにリソースが使用されたことが分かるが無断マイニングではわからない。
  2. 広告はメディアに対して付随するものということには社会的に理解されている文化である。ユーザーが認知できないようにしたい広告はない。それに対しウェブを閲覧しただけでマイニングがされて当然というような社会的合意は今のところない。(また、今後も理解を得られる望みは薄いだろう。)
  3. メディア側の収益化の手法として広告はユーザーに見てもらうことに意味があり、リソースの消費はあくまで不可避的に発生するものになるが、マイニングではユーザーのリソースを使うこと自体に目的がある。合意がない場合、マイニングで得られた収益はそもそもユーザーに帰すべきものである。

というわけで到底、無断マイニングは広告とは量的差異にとどまらない質的差異があり広告と比較しての擁護は無理があるだろう。

むしろユーザーに無断という点ではクッキーやトラッキングと比較すべきだろう。Web開発側の人間ならともかく、これらはユーザーのWeb上での行動を外部送信する場合があるので問題になりうる。ただリソースの消費は限られたものになる場合が多いであろうし、個人情報になるレベルのものではないのが通常だ。(もしそれを踏み越えるものがあるのであれば別途問題にすればよい)

そもそも論として不正指令電磁的記録関連の法律は射程が広い。単にあからさまなウイルスを対象としているわけではない。あいまいと考える人もいるかもしれないが、内実としてはユーザーに対して説明責任をしっかり果たしていれば基本的には問題にならない。保護法益は「電子計算機のプログラムに対する社会一般の者の信頼」としており、今回の件が、それを毀損するのであれば罰は免れまい。法制化してから罰しろという意見があるが、そういう意味では既に法律化されているのである。

参考:http://www.moj.go.jp/content/000076666.pdf 

参考:いわゆるコンピュータ・ウイルスに関する罪についてhttp://www.moj.go.jp/content/001267498.pdf

現状の法律はそうなっているので単にウイルス扱いされていると思って擁護していた人はもう少し認識を改めて本当に擁護に値するものかどうかを確認することをおすすめする。