風立ちぬが意外とよかった件

庵野の第一声で大爆笑だった。ニコニコの実況でもコメの量が半端なかった。ただ、なかなかどうして。見て行くにつれなかなかよい作品だと思わされた。

正直、作品単体としてみたときには、ポニョ以上、千尋以下といったところでそこまで名作とは言えないだろう。例えばトトロを100点とすると30点ぐらいかそこらといった印象だ。作品中の要素の構成、完成度、音楽の盛り上がり、声優の質、などが不十分で直すべき点は山ほどある。

ただこの作品がひとえに痛快なのは、宮崎駿表現者として突き抜けた描写をしていたことによるものだろう。結核の嫁の前で煙草を吸うシーンはその最たるものだろう。

嫁を殺してでも俺は吸う!と言わんばかりの紫煙の量。インモラル感あふれる刹那的な結婚、キスシーン、初夜(しかも女性から誘うというね)といった表現の数々。既存のジブリのイメージに縛られない非常に自由に作られた作品だなという印象をもった。

そういった表現者の自由さというものを素直に感じれるからこの作品は気持ちいいのである。表現者は好き勝手してなんぼなのである(↓参考記事)。

 

 

 

またこの作品では仕事でも、家庭でも相克を抱えながら生きる男の悲哀というものが(そこまで深堀りはされないものの)描かれている。自分自身、妻と子がいる身なのだがこれまでの人生ではそれなりの吸いも甘いもあった。そういった土台があって初めて「生きねば」という言葉がしみじみと伝わってくるように思える。正直、中高生や薄っぺらい生き方をしてきた人間がみても深く感動するというのはなかなか難しいのではないだろうかと思う。(逆にいうと、そういう自分自身の思い出補正があるから感動できるだけだという言い方もあると思うが。)

おそらく宮崎自身もそういったものを抱えて生きてきたのだろうなというところに思い至り、自分と日本の巨匠との間での繋がりみたいなものを見出せるという点でもこの作品はおいしいと思われる。

つまり、作品そのものというよりこの作品を通して、表現者として、男としての宮崎駿の生き様が垣間見えるからこそ風立ちぬは面白いのである。

 

風立ちぬ [DVD]

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フィクションで差別を楽しんで何が悪いのか?

少年漫画に見られる女体化すれば馬鹿になる表現と女性キャラの性的消費 - Togetterまとめ

娯楽なんだから消費して当たり前だろ。自分らのことだと思うから敏感なんだろうけど他のはあんま聞かんな。暴力行為の消費!身体障害の消費!紙資源の消費!

2014/12/31 06:44

 

いい悪いの話をすると、法的な面と個々人の倫理観のものさしがある(他にもあるが)。

上の話が前者をもくろんだものではないことは承知だが、「編集が止めるべきだった」みたいな意見を聞くとやはり抑圧というか自粛して当然の雰囲気作りがなされてていると感じる。白眼視する側も単に「嫌い」を超えた批判を行っている印象だ。表現者側はセンシティブにならざるをえない。

 

フィクションの中で「このような犯罪やPCに反する行為、見方が現実において許容されますよ~」と受け止めることのできる描かれ方がされていると物議をかもしやすい(その受け止めがどのようにして成立するかはともかくとして)。

 

例えばLOでは、もし現実では違法になる漫画ばかり掲載してても「YesロリータNoタッチ」を標榜していることにより、現実にはダメですよねと制作側が認識していることを示すことができていると思われる。(それでも叩かれはするが)

 

そういうエクスキューズがない場合、作者は現実においてもそれを許容しているのではないかと思われるわけである。ただ、漫画に「私~~は真人間で有り、作品に描かれている一切の犯罪・差別を現実においては許容いたしません。」と断り書きがあってもなんだか気持ち悪いと思わざるをえない。そういう踏み絵が必然となるのもどうかと思う。

 

暴力表現

 

ワンピースにおいてはバトルの暴力シーンが魅力の核である。それがダメだと叩かれるのはあまり見かけない。話が通じる相手ならば対話によって解決すべきだというのは多くの人が持っているだろうに。

暴力表現は市民権を獲得したと考えていいのだろうか?差別の枠に入らないからスルーされている?もしくはアンパンマン同様、正義の暴力は問題ないという認識もあるかもしれない。安倍ちゃんは集団的自衛権をもっと大胆に進めてもいいのかも知れない。

 

そういう意味では進撃はうまくできていて巨人と話が通じなかったりするから暴力の正当化がしやすい。(対人間もあるにはあるが)

ただ、構図としては戦争表現を娯楽として消費しているわけでケチがつかないわけでもあるまい。日露戦争軍神の活躍を楽しんでいたのに通じる~とかね。

 

やはり整理するとまずい行為が不可避的な状況ではなく肯定的に描かれていると問題になりやすいと言えそうだ。(なんともつまらん結論だ・・・)

 

セクハラと暴力の相殺?

面白かったのは「七つの大罪」のメリオダスのセクハラはエリザベスが嫌がってないからダメだけど、「シティーハンター」はハンマーでの制裁があるからよい(よりマシ)という意見だ。

 

実際には過剰防衛は犯罪になる場合があるので問題である。が、許容してないという表現になっているんだぞということだろう。

逆に暴力女が出てきた場合、お仕置きレイプするというような描写にはどう反応するのか見てみたい。

 

ちなみに「七つの大罪」のほうはエリザベス役の声優さん(当然女性)によるとエリザベスがセクハラと認識していないという解釈らしい。しかしこれまた炎上しそうなコメントですこと・・・。

 

劇中では、主人公のメリオダスがエリザベスによくセクハラをしていますが、その部分について触れられると、「自分がセクハラされている事がわかっていなくてそれを受けとめてしまうエリザベスが王女さまらしくて可愛い、って思います」と雨宮さん。
梶さんは「エリザベスのセクハラシーンは、アフレコ現場で他のキャストさんに梶が言うとさわやかでズルイと冷やかされました(笑)」というエピソードを披露してくれました。

TVアニメ「七つの大罪」公式サイト

 

セクハラされていることがわからないのがかわいいですってよ!

 

相手が嫌がってないからセクハラじゃないという反論もできそうだ。しかし、普通に解釈するとみの○んたよろしく立場的に上なのを利用して触ってるという見方にならざるを得まい。命かけて守ってんだからケツぐらい触らせろと。ただ、体で支払うのが即悪だというのもどうなのかという気もする。お金を払ってお触りすることが法で禁じられているわけでもない。お金がないなら体で払ってねというのは個人間の取引としてはありえる話だ。 ただこんなことをリアルに主張しても全うな女性陣からは白い目で見られることうけ合いである。

個人的には裏で愛人契約を結んでいて、エリザベスが始めはいやいやながらも徐々に・・・という展開が好きなので薄い本はよ!(ちなみに愛人契約自体は公序良俗違反で無効らしい)

 

開き直り

正直、理屈で反論を重ねても浮気の言い訳をしている感、満載でむなしい。アホくさい。

真の結論としては掲題のとおり「フィクションで差別を楽しんで何が悪いのか?」と言わざるをえない。

現実の社会においては法律やらPCに沿って生きねばならないが、一方で差別したい心、セクハラしたい心があり、それをフィクションで満たすことの何が悪いというのか?

そういった二面性があるのが人間だし、そもそもそうした現実の歪みこそが創作の原点であって、完全にきれいな作品が見たいのよ~って連中はちょっと都合がよすぎるんじゃないですかね。ディズニーとかボノロンだけ見とけよ。

お前はイエスキリストか?一つも悪い想像したことないっていうんですかね?人を殺したい。殴りたい。幼女を犯したい。美女のケツをぐいと鷲づかみにしたい。結構なことじゃないですか。思う分には。

フィクションでそれを楽しんで何が悪いってんだ。俺のサンクチュアリに土足で入ってこないでください。お願いだから。

 

 

Alignされたはてなスターが気持ち悪い

  • またもやブコメページのレイアウトが変わったようだ。
  • 掲題のとおり、そろったスターが気持ち悪く感じる。
  • 一列にそろって個数がわかりやすくなり、よーいドンを強いられている印象をうける。いいこでちゅね~って言われてる感じ?よくわからんが。
  • 思い返すに句点的意味合いを持っていたのだろう。

 

POP STAR

POP STAR

 

 

"性的指向"の政治的意味あい

  • なぜ、「性的指向」という言葉を使いたがる人間が「性的嗜好」という言葉と混同されることを嫌うかというと政治的目的があるからである。
  • 高尚な目的があるのだから、同じにするなということである。
  • どういう目的かというと「異性愛者」が法的に享受している権利と同等の権利をLGBTにも与えよという目的である。
  • つまり、現行の仕組みは「X性愛者」にとって特権的なのだから他の「Y性愛者」や「Z性愛者」に対しては差別だろと訴える。そして、その不平等を解消をもくろむわけである。
  • そういう切り口で「性的指向」という言葉を使うわけだ。
  • 他の性的嗜好は基本的にはそういう問題はない。SMが「口にするのも汚らわしい」とか言われることもあったりはするようだが、サドとマゾの結婚が禁じられているということはない。
  • しかし、よく引き合いに出されるのが「ロリコン」である。
  • 日本の法律では16、8歳以上でないと婚姻できない。Hするとつかまったりする。
  • これはロリコンに対する差別だという主張ができないわけでもない。
  • これに対する反論はある年齢以下だと責任能力が低いので、結婚や性交渉を制限するのには合理性がある。というものだ。
    しかしこれには2つほど反論が考えられる。
    少年法の改正はより年齢が低くても責任能力は問えるという方向に進んでいる。婚姻や性交渉についてその方向の議論にならないのはなぜか?大人側が管理しやすい方向に進んでいるだけではないか?
    →年齢はざっくりとした判断にすぎない。心身の成長は人によって異なるのだから、個別に責任能力を判断すべきである。
  • いずれにせよ、問題になるのは子供の権利侵害になるのかどうかという点である。だから見方を考えると「いや、別にロリコンを差別してるわけじゃないってw」という見方はできる。自分も概ねそのように考える。
  • 実は性的指向についても同じ見方ができる。
  • つまり、現行の制度は「異性間」に与えられたものであって、個々人の性的しこう?なんて気にしちゃいませんよwという見方である。
  • つまり社会が継続を指向するなら人口の再生産を行える異性間の関係を優遇するの当然であって、再生産のできない、むしろ阻害するような関係性に対しては、抑圧的になるというのは合理的であるという考え方だ。
  • LGBTを罪とするのは行き過ぎとしても、人口の再生産を行うものと行わないものとで税制・福祉制度上での差別化が図られたとしてもそこまでおかしな話とも思えない。(というか現行はそうなっている。)
  • 細かい話をすると、結婚をしただけで、再生産を行わないものはずるいという話になるので、彼らから優遇を取り上げるというのは一つの方向である。
  • さて、ここらで反論があると思う。LGBTでも子供は育てられるぞ!という反論である。これに関しては以前書いたので参考にして欲しい。↓

 

子供を持つ権利などない - 思考実験室

 

  • 簡単に言うと、血縁関係を本人の同意なく切り離すのは子供の権利侵害になるであろうということである。(例え、当事者が子供との血縁者であったとしても。)
  • もしあなたがどういう形であれ、赤ちゃんを産んだとする。もしその子供が勝手に違う子供と入れ替わっていたとしたら、それはプラスであろうか?マイナスであろうか?大問題であろう。*1
  • 子供からしてみたら、それと同じことが起こるのである。勝手に親が変わるのだ。
  • その全てが悪である、と断ずるつもりはないが、もしそれらについて真剣に考えぬかずに、LGBTでも子供は持てるなどと言うのは、単に己の性的欲求に従って、子供と結婚したいなどと主張するのとなんら変わらないだろう。

 

わたしはマララ: 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女

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*1:問題ないという人がいるとは思えないが、もしいるなら子供を自らの政治的目的を達成するための道具とか非難されないためのエクスキューズのように考えているだけだろう。

ヘイトスピーチの基準

国連 日本のへイトスピーチに懸念 NHKニュース

在日外国人の犯罪率は有意に高いので差別ではないですよ

 

  • 例えば、現行法だとだれそれを殺す!とか言おうものならすぐ脅迫罪か業務執行妨害でお縄である。
  • 殺せ!だと教唆になりそうである。あんまり見ないが。
  • デモなどで殺せと言っているのは具体的な対象が明確でなければ脅迫罪にならなそうな気はするが、言われた対象のほうは穏やかではないだろう。
  • 警察がデモを野放図にしているという印象を持つ人がいるかもしれないが、マイクを持っている人が下品な表現を使ったりすると注意したりする。
  • ブコメに書いたとおり、在日外国人の犯罪率は有意に高いし、日本人の収入を押し下げるので単純労働者層は総じて帰って頂きたい思っている。なので自分はデモに参加したら、出て行けぐらいは言うだろう。
  • そういう合理性はあるので、出て行けとか死ねぐらいはセーフで、殺せはちょっと不穏当ですわね。という判断はあるかもしれない。
  • 移民排斥はEUでも起こりつつあるので世界的トレンドであるし、合理性もあるので差別と言われる筋合いはない。

 

ロマの血脈(上) (竹書房文庫)

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「モンゴロイド3人、白人3人、黒人3人から『日本人』と思われる人を3人選んでください」といわれたとき均等に選ばないと差別になるのか?

そんな馬鹿な話があるか。

 

「日本人であること」に甘えないほうがいい(山本 一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

日本人の99%以上はモンゴロイドなんだからそうでない方をまずチェックするのが当然、合理的。警察や入管は疑わしきをチェックするのが仕事なんだから。人権人権言ってるやつはどんだけお客様なんだよ。

 

  • 過剰な人権意識のせいか暑さのせいか知らないが、神経質な人が増えたように思う。
  • 差別意識ではなく蓋然性に基づくことだというのにそこまで頭が回らないようだ。
  • もし外人に間違われたとしてなんだというのだ?その国の人を差別でもしてない限りなんの問題ないじゃないか?
  • racial profilingにあたり差別的だというが、犯罪を犯したとみなす。と国籍が違うとみなす。では大分差があるように思う。
  • ちなみに、国籍に関して言うと在日外国人の方が日本人より犯罪率が高いので差別的であろうとも前者をよりチェックするのが治安のためにはより合理的である。
  • 逆に考えて、全員を等しく疑うべきというのんきな人もいるかもしれないが、リソースは有限なのである。
  • あと、パスポートの列には並ばせてあげろよという人がいたが何の権限もないでやってるわけないし、チェック中にダッシュですり抜けられたらより大事だろうに。
  • 何事も予防が大事なのである。やましいことがないならきちんと説明する。当たり前の話だ。

 

 

 

もっと「上手」に戦争しよう。もっと「人道的」に戦争しよう。

Twitter / zaizengoro: 毎年この時期には「戦争は酷かった、悲しかった、いっぱい死んだ ...

民間人殺されまくったから平和志向になるというのも変な話である。

 

  • 戦争が不可避的に悲惨になるのであれば話はわかるのだが、
  • 先の大戦が日本にとって悲惨だったのは大空襲や原爆による民間人の殺戮が多かったのが大きな原因である。
  • が、そもそもアメリカがハーグ条約?を破って民間人攻撃したのがその原因である。
  • だからルール違反のアメリカ駄目だよね。という話ならともかく、なぜかそのステップは跳ばされて安易に戦争は悲惨という意見になるのはよろしくない気がする。
  • ともあれ自分だけが戦争しない、民間人は攻撃しないといったとしても片手落ちなのである。相手のあることですから。
  • こちらからは仕掛けない。それは当然として、いかに相手が仕掛けてこないようにするか、また、相手が仕掛けにくいようにするか。という対策をどうするかが大事である。
  • だから、悲惨さを軽減するためには自衛力とか抑止力が大事であるという話になるのが当然の流れのはずだがなかなかそうはならないようだ。
  • 自分の古傷を眺めて感傷にひたるのもほどほどにして、今、現在起こっているガザ、シリア、ウクライナあたりの戦争が何故起こってるのかを考えた方がよほど有益だと思われる。
  • とは言っても一個人がどうこうしたところで何もかわらないので、四の五の言うより、ありがたく平和を享受して、遊んでいる方がもっと有益なのかもしれない。

 

沈黙の艦隊(1) (モーニングKC (192))

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